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必然性・・・。

事務所の塗装についてです。

東を見る-s

ソファコーナー-s

 

事務所の在り方は、必要性に応じた必然性に基づくデザインを志向していますが、必然性にこだわるあまり時として・・・”問題設定の設定とその問題の解決”とい対立的な構図をデザインということで”でっち上げ”なければならず、そこに必然性が生じれば良いのかもしれませんが、時にその解決方法が短絡的な表現となってしまいます。つまりそれは自作自演の作り話というやつですね。

必然性とはそのように作られた物語ではなく、生活や状況、条件などの複雑な関係性の中で、どうしても遭遇する不可避な他者の存在とその調停過程と行為の結果です。決して無理に他者は設定するものではありません。

ということで、天井と壁はアプリオリに選ばれた色で塗装されています。
好きな色とかきれいに見えるとかが選定基準ではなく、実際のプロジェクトで色を採用する際に一つの指針、ベンチマークとなるべく各色はセレクトされています。あくまでも事務的です。何でもよいのです。

面は、水平な天井面、そして垂直な4周の壁に塗装され、同じ色でも各面による濃淡や光の反射具合の変化を検証できるようにしています。
わが事務所の天井ならまったく問題がありませんが、実際のプロジェクトにおいてカラーリングはとても繊細であり同時に決して失敗が許されません。
壁も何かとホワイト!!ばかりでなく、積極的に色を提案できるようにしてゆきたいと・・・、そしてその意志を強く保つようにと、常に色を意識する環境になることも大事かと思っています。

先日さっそく現在進行しているプロジェクトの色決めにおいて大きな役割を果たしました。もちろん同じ色で塗装したわけではありませんが、光の具合、質の明るさと面の方向の変化により色の発色を検討することにとても役に立ちました。事務所のインテリアとして、同時に事務所内での行為における必要性による必然性です。

天井の色は、ヴァンゴッホのタッチと似せたタッチで塗装しました。私が特に好きなヴァンゴッホのカフェの夜景の絵があるのですが、どうしてもその色とタッチで天井を塗装したかったのです。(これが潜在意識にある引っ越しの動機かもしれません、)手の痕跡がとても強く残り、積層されたいくつかの色が混ざり合いとても気に入っています。こちらは私の趣味というまた違った意味の必然性ということであえて行為として表現してみました。

壁面収納は、紙製のフェローズのバンカーズボックスがちょうど2列ビルトインできるように棚板を設えています。引き出しを設けるコストもなく・・・紙製の引き出しではありますがとても良い感じです。
各ボックスにそれぞれのプロジェクトを割り当て、得意の”とりあえず収納”を具現化しています。

事務所の神棚には、モエシャンドンを祀っています。いくつか連続する地鎮祭に奉納予定です。

プルーヴェのテーブルはAさんのテリトリーです。とても良い感じでひっくり返っていますが、アインシュタインのデスクの上はもっと凄いとのこと・・・。
実際、必要な書類を山の中から迅速、かつ的確に引き出してきます。本人いわく脳の中で完璧に収納されているとのことですが、本当でしょうか・・・。

翻って私は、机の上には必要最小限のもの以外は何一つ置きたくないのですが・・・実は僕は進化できず、淘汰の過程にいるのかもしれません。

ウェグナーの3Pは僕の妄想の為の寝床ですが、こちらに移動してからまだ結果待ちです。

自作のスピーカーは思わずライトブルーで塗装してしまいました。音がなんだか軽くなってしまったような気がします。どうなんでしょう・・・。

有形無形を問わず、ものであれ人であれ存在すると同時に消滅へ向かって消費され・・・しかしまた一方で、経済至上主義のこの世では”消費することでした前に進めない”という逃れられない呪縛の中で、人や思い、想いや記憶が建築となったらなあーと妄想しつつ・・・その在り様と必然性について考えてみました