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“タワードルーフ”をプレゼンしました。

towered roof と名づけて設計した店舗併用住宅をプレゼンしました。

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塔のように高くて、大きな屋根を持つ建築です。南側に交通量のある道路に面するコンディションです。

南面が道路ですから、住宅としては日当たりも風通しも抜群な住環境・・・。

店舗としては、明るい日光を浴びながら爽やかにたたずむ素敵な外観・・・。

しかし、店舗と住宅が同時に存在するよう企てると、様々な問題が発生します。

つまり・・・店舗ですから1階のゲストを招くスペースと上階の生活感はきちんと切り離して見えるようにしなくてはなりません。
店舗としての社会性とそのあり方、そして住まいとしての建築のあり方の融合・・・そこからこのプロジェクトの困難と解決への思索がはじまり、必然性のある解決とデザインとしての昇華を試みています。

この建築では、まづ上階の生活の場が外観に極力現れないように考えました。だからといって大きな無表情の壁で囲うのでは、力が入りすぎ・・・、近隣との調和に欠けてしまいます。住環境としての採光と通風もままなりません。
店舗の外観は周辺環境や地域に貢献する形状、ランドマークでなくてはならないと考えています。

そこで、1階の店舗に大きな屋根が架かる様に斜め形状の上階を設けています。外観の屋根は当然屋根材で仕上げられます。つまりは生活の場は屋根の中そっと、そして開放的に設えられています。屋根裏部屋のようですがとても明るく大きな空間となります。

屋根には様々な大きさの開口部が設けられ、そこからは植栽や木が垣間見えます。ムーミンの家のように屋根とグリーンを調和させています。ランダムなサイズの開口は外観に柔らかさとユニークネス、物語、そして周辺環境の様々なスケールとの混和を計ります。

併用住宅ではまづは”生活の場と仕事の場”、”プライベートとパブリック”、つまりは”ハレとケ”の場をいかにナチュラルにさりげなく分割して見せるかが非常に重要だと思っています。

そして、その外観は地域のランドマークとして、同時に商業施設としてのわかりやすさも重要です。つまりは解像度を極限まで落としてもわかりやすく視認性の高い、そして物語のある外観でなくてはならないと思っています。

この建築の実現の先に、近隣環境の中でどんな風景を紡ぎだせるか・・・そしてこの店舗を訪れるゲストにどんな物語を提供できるか・・・そんなことをイメージしながら作成した案です。

またもやくどくどとした説明になってしまいました・・・。よいデザインは言葉はなくても伝わらなくてはならない・・・と、つまり一言で建築の説明をすることを自身に課していますが・・・、修行が足りません・・・。