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天才の定義

友人のライブに代々木に行ってきた。4人編成のバンドでライブハウスは満タン、1000人以上の観客に対峙する雄弁な演奏だった。その立ち姿もかっこよいのだが、音楽もまた面白い。楽器の持つポテンシャル、演奏の精度、音域のレンジに挑戦しているような音楽だった。何かを突き詰めてゆくと計らずも到達するような、緻密な音楽だった。
なにわともあれ音楽はライブに限る。これだけの観客、それもほとんどが耳の肥えたセンスの良さそうな若者を集めるということ・・・そして僕と同世代にもかかわらず今でも持続する音楽に対する誠実でゆるぎない信念、技術への向上心にはほとほと感心する以外にない。音楽はもとより、それだけでかっこいい、ということだ。

ある著名な建築家が雑誌のインタビュー答えていた。建築家にとして一番大切なことは・・・という質問に対し、氏はシンプルに一言、やり続ける事だよ、・・・と。その建築家は知性と造形力の両方を兼ね備えたいわゆる理論派と言われる建築家の中でも最右翼の才能豊かな人だ。そんな人がただ一言、大事なことはやり続けること、それ以外にない、そうすれば何かが見えてくる・・・とは、勇気を与えてくれる。

 継続すること・・・。これが一番難しいと思う。瞬発的な集中力というか爆発力とかいうのではなく、10年、20年、30年とひとつのことをイメージしそれに邁進できることこそがひとつの才能なんだと思う。そして、それをやり続けられる人が才能がある人ということなんだと思う。
イチローのようなレベルでの話とは大きく違うが、生まれ持ったものだとか先天的なものなんていうのは、人それぞれ大きくは変わらないと思っている。大事なことは、集中して、持続すること。そのことに没頭できるということだ。

ミュージシャンの友人は今でもハイテンションで音楽に取り組んでいる。ほんの20分程度しか話はできなかったが、演奏を見れば一目瞭然、集中して継続している。
僕も建築を志してはや20年・・・、毎日毎日建築のことを考えてきた・・・、ような気がする。 継続することこそが才能の定義であるとするならば・・・、そこだけは僕は明らかに天才・・・なのかもしれない・・・。