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建築模型

我々の事務所ではプロジェクトの初めからまず模型を作る。

最初にスケッチや図面を作りながら検討を始めるのではるのではない。

そして模型は大きければ大きいほど、そして数があればあるだけ良い。敷地をつぶさに観察し、たらふく施主のイメージを聞いてから、そしておもむろに模型を作る。何度も何度もつくり、改造し、案を深化させてゆく。
そして、最後に模型を見ながら模型をなぞるように図面におこしてゆく。

図面を書いてから模型を作るといった、合理的な方法は取らない。

なぜなら、建築は3次元に存在するものだから。

その模型を眺め、のぞき、そして形状を整える。窓から見た景色や空間の光の分布や明るさ、人の視線の交わりは立体の中に身をおかなければ分かりにくいし、自然光も風も立体的に流れるものだから。然るに、出来上がったときのイメージを可能な限り忠実にイメージしきるには模型しかない。

僕らは、究極の普遍性、スタンダードな建築を志向している。奇抜さや新奇さは必要はないと思っている。普遍性とは定義の困難な言葉であるし、普通であることはもっとも困難だ。だけど少なくとも世に氾濫している、”よくある建築”には合理性はあっても、本当に人に必要な何か大切なものは足りないのではないかと感じている。
例えばその普遍性は、昔から連綿と続く、大地に根ざした民家にアイデアの片鱗を垣間見られることがある、そんな類のものだ。

その普遍性を捕まえるため、最も原始的なところから建築を考える必要の要請により、最も原始的な方法を使って、建築を思考してゆきたいと思っている。 人が本来持つ気持ちよさ、居心地といったとらえどころのない何かをこれからも追いかけてゆきたいと思う。

新しい原始性と普遍性・・・、これこそが建築を作り、未来につながる手立てだと思っている。