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現場より

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現在、基礎工事中の現場です。南側に大きく開いた敷地に計画された住宅でギャラリーとしても使用されることを想定しています。 前方は、駿河湾が大きく見えます。西側には御前崎、東側には伊豆半島がみえています。 

 住宅には中庭が設けられ、そこには水琴窟が設けられる予定です。そしてリビングに面するガーデンには大きな水盤が計画されています。 

音楽だけではなく、音そのものにこだわりを持つ施主に提示されたテーマは建築と音です。 水盤の水音と中庭の水琴窟、この音をいかに純粋に空間に取り込むことが、施主から与えられたミッションでもあります。 

自然が夢の空間を準備する物質・・・、それは水である・・・。 フランスの高名な哲学者、バシュラールの水と夢という本にある言葉です。   

水と音・・・。水には音があります。流れる。たゆたう。うねる。ゆれる。さざめく。煌く。 

然るに水の音色は現実には水自身の音ではありません。そこが水の水たる所以です。 時の流れ、季節のうつろい、光のざわめき、そして人の心・・・、つまりは宇宙の森羅万象が水を通じて歌になる。それが水の音色なのではないでしょうか。 陽が新しい空間を切り開くとき、喜びに満ちた明るい歓喜のとき、深い暗闇に思いをはせるとき、水はそれぞれに時を刻んでいるのです。水は水自身の生命を音の中に持っているのでしょう。  物理的な存在としても人は水でできているのです・・・。つまりは水の音色とはつまるところ人の心であり、存在なのではないでしょうか。 施主は、そんなことを直感的にかつ本質的に理解し、水に何かを求め、音に精神の静寂を求め新しい住まいにそれを昇華せしめんことを求めているのでしょう。 音・・・、今まであまり真剣に取り組んだことのないテーマではありますが、施主からは様々にリクエストと助言をいただきながら、プロジェクトを進行しています。

 管楽器のような良い空間になりそうです。楽しみにしていてください。