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H邸 断面から考える

今回は・・・、住宅のコアとなるダイニングキッチンに大きな吹き抜けを設け、その吹き抜けを通じて、スタディコーナー、リビングルーム、ベッドルームがキッチンとダイニングスペースと立体的、かつ有機的に緩やかに連続するような断面形状として計画された住宅です。

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北面には交通量のある道路、南側には住宅街が広がります。必然的に南側にリビングルームを配置すると、北側の奥側、それもプライバシーの保ちにくい北側がダイニングキッチンとなります。
しかし、それではダイニングキッチンの自然採光、換気の両面においても好ましい状態ではないので、ダイニングキッチンの上部を吹き抜けにし、その上部にさらにハイサドライト(高窓)を設け室内環境を整えています。

高窓は常に安定した自然光を確保するとともに上昇気流を利用した効率のよい室内換気、そして防犯性の高い開口部として等々、性能の高い窓となります。

ダイニングキッチンは家族の生活のコアとなる空間となり、各家族の生活のための空間は吹き抜けを通じてダイニングキッチンと各室は互いに見る見られるの関係を生み出し、それぞれ緩やかに連続した空間となります。

また1階の床レベルより600mmほど上がる形状のスキップフロアーにすることにより、それぞれの空間、リビング空間との関係を連続性を保ちながら、おおらかな一室空間としながらも、それぞれを独立した空間としても利用できるようにしています。
またこのレベル差は同時に、北面道路よりも高い位置にあるため、外部環境からプライバシーを保つことを容易にしています。

吹き抜けを樹木の幹、各空間が枝のように連なる空間は、家族のプライバシーを守りながらも一体感をもたらすとともに、自然光がいきわたる、通風しのよい空間となっています。

スキップフロアーの下部は床下収納炉しても利用されています。

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南側のリビングルームから1段高いスキップフロアーのダイニングキッチンを見る。

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ダイニングキッチンから吹き抜けを見上げる。正面にスタディーコーナーのデスク、右側が各室につながる廊下。廊下の手摺は書棚としても利用できる形状としている。

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スタディーコーナーより吹き抜け方向を見る。ここから見下ろした位置がダイニングキッチンとなる。外部環境から遮断されたプライバシーの保たれた空間でありながらも自然光で明るい空間となっている。