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傾斜地に建つ家 断面から考える。

 東から西へ向かって高低差が約3mある敷地に計画さた住宅を紹介します。

元の傾斜する地形に対して・・・、高い部分にあわせて床の位置を設定すると低いほうの床には下駄を履かせたような大きな基礎が必要になります。

ひるがえって、低いほうの高さにあわせて床の位置を設定すると高いほうの床が地中に埋まることになり、壁には土圧に耐える強度と防水性能が必要になることになります。

どちらも一長一短ではありますが・・・、この計画では、床のレベル2つに分割して、傾斜の中間にあわせてそれぞれを設定しました。こうすることで、掘削する土の量と盛る土の量がバランスして、合理的な土工事と基礎の形状となると考えたからです。

そして室内には図らずとも2つのレベルが生じました・・・。ここが大事です。

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天井は2つの空間にまたがり抱擁かのようにゆったりとおおらかに、ふわりと架けられています。
そして床の高いレベル、つまり天井の低いエリアはプライベート空間として、そして床の低い天井の高い空間はパブリック、空間として割り当てられます。

それぞれの空間は可動間仕切り(引き戸)で仕切られているので、普段の生活ではエントランス、リビング、ダイニング、キッチン、room1,room2までの6つの空間がワンルーム空間としておおらかに使用することが可能ですそしてこのワンルーム空間のちょうど中間には大きな子の家のシンボルてとしての階段が出現するのです。

この階段とレベル差は空間を時に2つの空間に分節し、時にワンルームとしてと、シチュエーションやコンディションによってさまざまな使い勝手に対応します。

そして、リビングダイニングの上部にはハイサイドライトを設け、東からの朝日を直接室内に導き、同時に裏山の豊かな緑を直接室内に取り込んでいます。

ここでは高低差約600mmの段差が、室内をゆったりと空間を分節する(いつもの)スキップフロア形式です。床座においてはそれぞれの空間は視線のずれにより落ち着いたワンルーム、立っているときは視線の交錯する変化のある立体的な空間として、快適性と機能性の両立を目指しています。

スキップフロアーにより生まれる視線の変化による間仕切りとしての試みです。物理的な壁ではなく、意識の中に生まれる見えないゾーニングを実現できたのではと考えていますが、いかがでしょうか。

2つの床とハイサイドライト・・・、敷地の形状と設計条件からストレートに直接導かれた必然性のある形として、この場に結晶化されている。
形は作るものではなく、敷地や環境の状況や条件により図らずとも導かれてゆくものであるということが空間を通じて体感でき、その愛着ある地に寄り添うように生活する感覚が生まれてくればと思っている。

・・・Sさんの住まうことへの情熱と心配りは我々にいつも大事なことを気づかせてくれます。ありがとうございます。先日も突然の訪問にもかかわらず、完璧な居住まいでした。訪問のたびに成長する住宅、そして楽しみながら住みこなしている家族の皆さんに心から感服します。

前面の芝貼り空間はかなり気持ちがよさそうでした。バーベキューはどうでしたか?次回は参加させてください。

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