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雀士の背中

高校時代、毎日ひたすらテニスをしていた。
一年で休みは正月の3日と新人戦の後の3日くらいだ。あとは毎日、日が暮れるまで・・・。

そんな毎日でも、練習の後には部室で麻雀を半チャン1、2回くらいしていた。今思うと本当にタフだったなと思う。

チームには無敵の雀士がいた。

彼の哲学は勝つことでななくて、決して負けないこと。

まったく高校生離れした世界観だ。何度か彼の後ろについて背中越しに彼がいかに麻雀を進めるかを観察してみた。彼は決して大きな手を狙うことはなく、相手が大きそうな手を作っていそうだと察したら、決して突っ張ることもなく、いとも簡単に降りてしまう。

そして流動性の中に適度な能動性を織り交ぜ、絶妙な柔軟性により自分の手を進め・・・、隙があればタンヤオドライチ等とのたまい、軽くあがってしまう。マンガン等、彼が作るのは見たことがない。

今流行の非線形幾何学・・・、アルゴリズム的思考だ。
そして、終わると、いつも彼は負けてはいない。

彼のその人生観は彼のテニスにも顕著であった。攻めることはなくても、ミスをしない。相手より1度だけ多くネットの向こうのボールを返せばいいんだから・・・と。
華麗さではなく、ただ粛々とボールを返せば良いといったところだ。

勝たなくてもよい、けれど決して負けないこと。

今になるとよく分かる。仕事や生活は決して勝ち負けではないが、ネガティブな事象を減らしてゆくと自分の中での余裕が違う。そしてそれがよい方向へドライブしてゆくのだと思う。

彼は、僕が独立した際に真っ先に仕事を紹介してくれた。まったく、持つべきものは友だと、今でもよい友人の一人だ。