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現場の屋上から

現場の屋上からの風景だ。もう工事はほぼ終了・・・。ほっとした気持ちで、最近聞いたり読んだりした話を思い返してみた・・・。

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屋根がナミナミと連続し、遠くには新宿の高層ビル群が見る。

それぞれ一つ一つは精密に設計された建築なのだが、それが集合するとまさにカオス、エントロピーが最大化へと向かう光景だ。その果てにはすべてが霧消、ホワイトアウトするらしい。

そこには明確な意思は感じない。まるで細胞が代謝を繰り返しながらうごめいてまるで生命体のようだ。そしてそれは美しい。

そう、都市は生命体なのだ。

生命体の一つの性質として自身の表面積を増やすというものがある。例えば人間の肺のひだひだの表面積の合計はテニスコート1面分くらいはあるらしい。胃も腸も脳味噌も栄養分を吸収したり放出したりと代謝するため表面積を増やす、つまりラジエターのようにひだひだによってできている、ということがある。
例えば、植物は葉を使って、自身の表面積を増やす。

都市もそうだ。敷地をより有効に使うため床を2層3層、時に60層70層と床を積み重ねている。まさに床面積、地球の表面積の増大化こそが都市の過程である。

人為的なのかもしれないが、単純な比喩としてではなく、まさに都市と生命体は同義である。

あらゆるものはエントロピーが増大する過程にあり、生命体とはエントロピーを食べているという指摘(負のエントロピー)にあるように、生命体の存在はエントロピーを秩序付け、エントロピーの増大とのバランスを保っているというものがある。開放系の安定性というらしい。

建築を設計するということはまさに生命体同様、そのエントロピーを秩序付ける行為であり、建築の可能性の中には生命体や都市の持つダイナミズムや活性を空間に取り入れなくてはならない。

そう、そんな活気と生命力に満ち溢れた建築をいつかものにしてみたいものだ。それはたぶん生命や都市の原理や摂理こそがひとつのヒントになることだと思う。