Blog

インテリアの設計

事務所では年に3件から4件ほどののインテリア設計を行っている。

主に物販や飲食等の商業施設である。インテリアの設計と建築の設計は似ているようでかなり違う。

僕自身どちらが得意ということはないのだが・・・、どちらとも手がけることにより我々自身の幅を広げることになっているのではと感じ、期待している。とはいえそれぞれの仕事に対する構え、アプローチというものはかなり違う。

インテリア設計、特に商業施設は”有”のものに更なる”有”を付加し、どこまでそのポテンシャルを引き出し伸ばすことができるか・・・、つまり付加的なデザインだ。
創造的であるより編集的でもある。
ショップやオーナーのスタンスによりあらかじめイメージの方向性は提示されていることが多いので、その中でさらに何かを付加することでよりそのコンセプトを補充、補強、補完することが求められる。そして、その効果は売り上げとか来場者数につぶさに表れる。このような判りやすさもこれらの仕事の魅力の一つではある。

が、それだけに振り回されてしまうことには気をつけなくてはならない。例えば、飲食であれば単純に座席数を少しでも増やすのではなく、思い切って減らすことによる付加価値の創出・・・、といった感じである。ショップに求められる効果、つまり来客者に対するアピール、わくわく楽しく、つまりは空間による欲望の結晶化・・・、僕はこの判りやすさがとても心地よく、そしてその欲望をダイレクトに喚起させることが気に入っている。

一つの雑貨ショップがデパートの一角に竣工した。商品はかなりよいセンスで、ショップの方向性も定まっているので、少々戸惑ってしまったが、壁面一体に秘密の小箱を並べることにより、その中には何があるのだろう・・・、一つあけてみたいな・・・、こっそりとこっそりと、秘密をまさぐるような背徳性、官能性・・・。こんなことを考えながらデザインした。
他にも、難攻不落の異性を口説くための狩場としてのバーなども最近デザインした。いかに自身の、また異性の顔やかたちを美しく見せるかという照明の角度や光源の大きさと種類が計画がデザインのポイントとなった。いずれにしてもここでは書く事ができないほどの不謹慎さと不埒な気持ちでデザインしていた。否、書くことはできるであろうが、もし、この文章により仕事の依頼がキャンセルになると悲しいので・・・。yoyiyyeeoaoai.jpg

商業施設のデサインミーティングでは、施主には勢いとか、気合とか、ハートとか・・・、そんなわけもわからない抽象的な言葉と擬音語、擬態語を羅列しながらデザインしている。

一方、住宅などでは当然ではあるが身体性や五感のすべて、生活が最も重要なプライオリティである。

こちらはいかに余分なものを排除し、必要なものを必要な形で、当たり前のようにデザインすることが求められる。商業施設とはまったく逆方向の還元的なデザインの志向だ。どちらも空間ではあるのかもしれないが、僕にとって、それぞれ対極に位置する思考方法である。