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僕の功罪

不況といわれて久しい・・・。僕自身・・・、こんな時代だからこそ何か新しい発想の転換が求められる!!今こそチャンスだ!!!、風評的なものに踊らされるな!!!!などとついつい電車の吊り広告にあるビジネス書の表紙のようなことを口走ってしまいそうだが、僕も無意識のうちにいくつもの功罪をなしていることに気がついた。

先日ある知り合いに自宅の耐震性について意見を求められた。その人は建て替えも含めて検討しているらしいとのことであった。

そこで僕は、この家をつぶすことはどうかと思う。まだまだ充分である。少しだけ補強とリフォームしていけばかなりよいのでは・・・と・・・。

僕の生業は建築設計。喜んで設計させていただきますといえばよいものを・・・。一つの経済の停滞に加担してしまった。

また、知り合いから・・・、彼は個人事業主だが、事業とは関係ない、アトリエ、リラックスできる海の見える戸建ての別荘がほしい。どうしよう・・・。との事であった。そこで僕は、今はやめとけ。金があるなら店舗を改修しよう。それでもあまるなら新店舗にしたら・・・。
もしどうしてもというなら、資産価値とか気ににしないで古いリゾートマンションでもかったら、ほんとはガールフレンドを呼びたいだけでしょ?と。彼は頭をかきながら一言、そうだね・・・。繰り返すが、僕の生業、つまり僕の生活は建築の設計により成立している。

他にも、最近ではアマゾンで本を探し、そのままプリントした本のリストをもち市営図書館に走る・・・。これでは、作家に申し訳が立たない・・・。家ではもっぱらDVD。

映画はあくまでも映画館で見るものであるし、映画館で見るように編集されているのだから。
映画の編集作業も映画館と同等の大きさのスクリーンに画像を投影しながら編集作業をしているらしいし・・・。実際のスケールで扱うということに建築との接点を感じた。
先日、以前お世話になった施主で出版関係の仕事をしている方と話をした。氏によるとツタヤやヤフーオークションのおかげで、新刊本がまったく売れないそうだ。おかげで一部の作家を除く多くの作家の収入が激減し、もはや作家としての生業が成り立たなくなってくるのではと嘆いていた。これでは新しい作家は育たないし、志す人材も少なくなる・・・。とのこと。

それはつまり、僕らが新しい才能の芽を摘んでしまっているということ・・・。本に限らず、映画でも音楽でも何でも、創った作家に対するリスペクトと対価は忘れてはならない。そしてそれが新しい才能につながり、僕達に新しい世界をまた見せてくれるのだから・・・。

まさに功罪相半ば・・・、ほかにも多々あるだろう・・・。

とは思いつつ、決して失敗したとか、後悔している訳ではない・・・。問題の根は深い・・・。