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黄金のトライアングル

最近、坂本龍一がグレングールドの演奏をセレクションした、きわめて坂本趣味的なCDを購入した。

どちらも僕にとって、両方とも最高に気になるミュージシャン、演奏家であるゆえ、何のためらいもなかった。

これは僕を中心としたゴールデントライアングルを形作る、決して間違いのない一品だ。決して三角関係ではない・・・。

僕を頂点として、グールドと坂本龍一がプラトンも真っ青な幾何学を描いているのだ。当然、至極残念ではあるが・・・、この三角形は限りなく線に近い、究極の2等辺三角形なのだが・・・。

まあそれは良しとして・・・、

もうひとつのゴールデントライアングル・・・、
画家のパウルクレーについて詩人の谷川俊太郎が読んだ一葉の詩がある。学生時代に出会ったものだが、未だに頻繁に脳裏の中央をリフレインしている。

それはまじめな顔つきという作品で、

まじめな人がまじめに歩いてゆく。かなしい。

まじめな人がまじめに泣いている。おかしい。

まじめな人がまじめにあやまる。腹が立つ。

まじめな人がまじめに人を殺す。おそろしい。

どうでしょう。かなり深いですね。というか未だによくわかりません。ただ、確かこの詩集は絵本だったように記憶しており、クレーの絵との相乗でインパクトがありました。

今でも、特に何か困難な事象や時期や機会にこの詩が頭の中をぐるぐる回ります。この詩・・・、表面上はなんかアイロニカルというか、理不尽な感じがしてしまいますが、困難なときにこそ思い出されるということは決してそうではない何か、僕の識閥下の琴線にダイレクトに触れるおそろしい力があるのでしょう。

それにしても、詩人とは言葉だけで、画家は形と色だけで人の心に深く入り込む、ほとんど狂気ともいえる才能ですね。

そのような才能はある人にしかわからないのだろうけど、見なくても良いものや普通の人では感じられないような、または感じなくても良いものにこそ真摯に対峙し、ある意味本当につらい職業なのではなかろうかと想像してしまいます。