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素材のこだわり

塗装仕上げのなかで、最近よくリクエストを頂くエイジング加工、ヴィンテージ塗装。年月を経過した素材に見られるサビや剥がれ、傷や汚れなどの風合いを、塗料や道具を使って表現する技法です。
いかにも古い木に見せかける為にワイヤーブラシ、ハンマー、ヤスリなどの道具を使って(叩いたり、擦ったり)木の表面にキズを付け古い木の質感を表現します。

今回は杉板を浮造り加工し、塗装します。木目の固い部分を残し、柔らかい部分をブラシで削る事により木目の凹凸を強調します。木の木目による陰影が強調され、表情が豊かになります。

現場での施工が難しいため、塗装屋さんの工場へ材料一式運び、着色の調整もその場でお願いしました。

 

住宅室内階段の仕上げ材として使っています。
浮造り加工の凹凸が、程よく滑り止めにもなってくれそうです。

 

そしてもう1つ。
ベルギーのBEAL社が開発した薄塗りの左官材料、モールテックス(MORTEX)。
特殊な樹脂をセメントに混入するため、セメントの質感を持ちながらも曲げ・たわみに対して非常に強いモルタルになりす。1~2mm程度の薄塗りで、コンクリート以上の表面強度があり、従来のモルタルではありがちだった角の欠けや表面の削れがすくない素材。セメント系のため屋外でも使用することも出来ます。様々な色が表現できることも魅力です。

スチール扉へ施工しています。
コンクリート打ち放し壁との相性は抜群です。

1つ1つの素材をこだわりぬいて表現される濃密な空間。そんな住宅設計を心がけたいと、改めて考えるプロジェクトとなりました。器具の選定も、現場確認ができるとオーナーさんの想像力もさらにひろがるように思います。そんなことにお付き合いしてくださる方々。ありがとうございます。
現場に行く時間があるなら、もっと絵(図面)を書くこと!と諸先輩方からよく言われてきましたが、私自身は ”思い立ったら現場”  です。 オーナーさん、職人さんと、1つ1つ積み上げていく工事としていきたいと思います。
工事関係者様、もう少しお付き合いのほどよろしくお願いいたします。