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”iruka”をプレゼンしました

幹線道路沿いに予定された子供達を対象としたエリアと住宅を併せ持つ併用住宅の提案です。

大きく傾いた矩形は子供達の様々なイメージをかきたて、そして記憶に残るような、それでいて装飾を排除したシンプルで美しく、輪郭のしっかりした建築として考えました。

建築形態に対して様々なイメージを喚起させるような・・・、ということを私は人が集まる建築(住宅以外)に対して最も大事にしていることです。つまりは見る人にとってイメージすることが楽しくなる!ということです。そしてそれは皆に解りやすく記憶に残り親しみを持ってもらえるということにつながります。当然、建築の外観は公共性のあるものですので美しくもなくてはなりません。

装飾は1つの意味しか生みませんが、シンプルだけどイマージナブルな形態は、見る人それぞれの内なる世界にそれぞれの物語を紡いでもらえると思っています。つまりは南国風とか地中海風とか民家風とか・・・それはそれで面白いのですが、それ以上にはならないのではと思っているのです。

この建築は例えば、空から降ってきた隕石のようだったり・・・、空中を舞うイルカだったり・・・、海面に口をあけたジョーズだったり・・・突進してくるサイだったりそんな風に見る人が楽しんでもらえたら、そして記憶に残してもらえたらと考えながら提案しました。2階は住居になりますが、周辺にたいして生活の雰囲気が外部に露出しないようにコートハウス(中庭)としています。

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lerning from las vegas という本を学生の頃必死で原文を読みました。”ラスベガスから学ぶこと”と訳せます。
当時建築デザインの潮流を大きく変えた、つまりポストモダンの時代を皆に気がつかせた大変有名な本です。
当然理解もままなりませんでしたが、大まか下記のような感じです・・・。

ラスベガスのカジノ街をハーバード大学の学生と共にリサーチを行い建築タイポロジーの分類を試みた内容です。

ラスベガスにおいて、車による移動が社会に浸透するに応じて、車から見た視点にあわせた建築の形態はわかりやすさを求めるポップなデザインなってゆきます。美術の世界のポップカルチャーとも連動してゆきます。

もともとそれ以前のモダニズム建築(コルビュジェ、ミース、グロピウス等等)は内部空間と外観というのは親密な相互関係にある時に単調なものだったのですが、ここで定義されるロードサイド建築はもはや外観と内部空間に関係性はなく外観はそれ自体がメッセージとして遊離していくということを論じた本です。

この言説により建築がポップでもよいのでは、そして内部と外部の相互関係はより分離されてもよいのでは、建築はもっと自由なのでは、モダニズム建築に替わるポストモダン建築が注目されてゆくきっかけとなった内容の本です。

現在となっては・・・なのですが、その時代の熱気というか不満の爆発というか・・・とても面白い本なので是非。

そんな事を思い出しつつ、ポップでもなく装飾でもない、現在から遠い未来に向かって射程の長いデザインを考えました。

いかがでしょうか?