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海辺の美術館

現地調査のついでに三浦海岸の海岸線にある美しい美術館を訪問した。周りの風景と一体になり、環境と建築の境すらも見つけることが難しいほど、周辺の環境との増幅効果により、建築の周りの風景をより引き立たせているように存在していた。

見過ごされているだけで、すでにある環境の潜在的な質を一気にあぶりだすような建築。
例えば、 ありふれた光景が、写真というフレームにより切り取られる事により時に被写体を凌駕するほどの強いメッセージやイメージを伴った、まったく違う風景となって我々の前にあらわれることがある。建築も然りだ。建築されることにより可視化される環境や行動・・・。

環境は物理的にはそこに既にある。でも、それはよく見えていない部分が多い。視野に入らないということだけでなく知覚されない・・・。この、よく見えない環境を何らかの形で知覚されるようになると、そこには新しい質や解釈が与えられ風景や環境に豊かさが増してくる。
建築ができて初めてここはこんなにも魅力的だったのかと気がつかされるような建築、潜在的な質をあぶりだす建築、そんな建築だった。

風景や環境と書いてきたが、その部分を行動や生活という単語に置き換えてみると、今、僕が建築に求めている空間の質に気がつかせてくれる。

生活や日常に新しい質や価値を与えてくれるような、行動やコミュニケーションの新しい関係を生み出してくれるような、そんな空間をものにしていきたいと思っている。