飲食店舗の改修工事が終了した。

改修とはいえ100坪近い床面積の改修である。特に後半戦は毎晩8時くらいに現場に行くことが日課になっていた。最後の5日は夜通し現場が進行していた。現場監督さんのがんばりもあってなんとか期日に間に合わせることができ、先日無事にオープンした。
今回は大きな曲率を持つ4つの円弧の壁を平面的にずらしながら重ね合わせるように、そして屋外から室内を交錯するように配置し、それらが互いにずれたところに導かれるような空間を作り出そうと試みている。 壁の曲率は同じでも、壁の素材を微妙に調整することにより差異を生じさせている。
円弧という強い幾何学形態・・・、そしてそれをずらしながら重ねることにより発生するゆらぎ・・・。

内と外、外と内、ハレとケ・・・、真と草・・・、堅さとゆるさ・・・、とまりと流れ・・・、そんな背反二律を空間の中に呼び起こし、空間は定義から逃れるように振動しながら、導入部の豊かさと静寂のある落ち着いた雰囲気のダイニングを共存させ、奥行きを与えている。

東名高速道路の御殿場インターチェンジを降りて右折、富士山の方角である北側500ｍほどの左手のところです。是非ご高覧ください。
それにしても監督をはじめ現場の担当者は夜遅くまでがんばっていただきました。
当然、僕も含めて皆、経済行為・・・、つまり生活の為・・・、なのですがそれを越えた何かが現場にはあったように思えました。良い空間が生まれるときは常に何かそんな光が降りてくるような気がします。逆にそんな光が降りてくるように導くのが我々設計者であり、デザイン、図面だと思います。

そんなことを考えながら夜中の高速道路を行ったり来たりの日々でした。