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古民家を通じて考えたいこと。

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雪が降る前に、長野県に古材を探しに行ってきた。
現在進行中の現場の施主さんからのリクエストで和室の引き戸に民家で使用されていた格子戸を再利用したいとの事である。
さらに、もうひとつの現在計画中の住宅では和室ひとつを囲炉裏部屋として、古民家で使用されていた柱梁をそのまま再利用する事を考えている。
アクティブな施主さんでもう既に格子戸は手に入れたとの事であるが、実際どんなものなのか、そしてそれはどのようにして使われているのか、さらにはどのような納めで使用するのか・・・、初めての事でわからないことが多すぎ・・・、とりあえず長野にある古民家再生を専門にしている問屋さん、そして小民家を再利用している蕎麦屋さんと民芸品売り場、さらには知り合いのお宅を拝見させていただいてきた。
古民家で使用されていた建具はそのままでは到底使用できそうには無いが、きちんとリペアーされていて良い感じである。全ての材は無垢材で、接合部は組子で組まれている。高温多湿な日本の風土に合わせて建具自身の接合部分も柔軟に動くように工夫されている。
改めて風土と建築技術の融合とその必然性には驚かされる。昨今、行政では何百年住宅などといった、威勢の良い指針を出してはいるが・・・、結局のところ再利用してでも使用して行きたいと思わせるような建築こそが長寿命なのであって、それはたぶん現在使用されている新建材や、張り合わせの家具や建具では決して追いつかないのだと再確認してしまった。
認識したは良いけど、どのように作っていけばよいかはこれからゆっくりと考えなくてはならないが・・・。
今はあらゆることが流通に制約されていて、少しイレギュラーな事を考えるとやれメンテナンス、保障、PL法などとそれはそれは制約が多く、どこかで踏ん張らないとありきたりで退屈なものになってしまうのだ。
今回、このふたつのプロジェクトにて使用される古材を通じて、単なるノスタルジックではない時間を超越した技術と素材の深みを再現できたらと思っている。
楽しみにしていてください。