Blog

カーブにて

小学校の低学年の頃、教室の窓の外300mほどのところに東海道線が通過していた。

僕は授業中だけでなく、授業の合間の休み時間までひたすら電車を眺めていた。そしてそれではとうとうたまらず、自分のノートに通過の時刻を克明に記録するまでに至たり、当然僕の成績はそれに反比例して反映されていった。

僕自身は今ではとうに卒業してしまったが、今でも鉄道の魅力に取り付かれた人たちがたくさんいる。僕も以前はそうだったがどうしてそんなにも鉄道は魅力的なのだろうか・・・、一つは、ものすごく巨大で強力なシステムであるからだろうと思う。

決まった時間に決まった方向に、そして決まった速さで・・・、このどうにもならない強力なシステムに惹かれてしまっているのでは、そしてそれを走破するということはそのシステムを陵辱する感覚なのだろうか・・・。数字の羅列された分厚い時刻表を姦する・・・と言う事なのだろうか・・・、たぶんそんな感じだろう。

僕は今でも鉄道乗車の際には、例えそれが地下鉄でさえ、急いでいない限りは先頭か最後尾の車両に乗り込み、ひたすら運転手や車掌さんの肩越しに外を眺めている。

飛行機では当然窓側の席、特に主翼の後ろ15列目くらいが主翼のフラップの機微な動きも確認できて最高である。もしその席が取れなかったら一便を遅らせることくらいはまったくいとわない、という感じである。

電車でも飛行機でも、カーブする時のバンクがたまらない。だから僕は眺めるにも、体感するにもいつもカーブに集中している。

地下鉄では半蔵門線でグーッとカーブしてその先に赤坂見附駅の光が見えてくるさまが秀逸である。飛行機では成田の上空でぐるっと旋回して一気にランドオンしていくところがもはやエクスタシーである。

あと、僕を魅了してやまないものは内輪差だ。

これは僕の幼稚園児の頃から変わらない趣味だ。特にトレーラーが交差点を曲がる際、一旦大きく反対車線にはみ出しながら一気にコーナーをえぐるように交差点ぎりぎりを後輪が通過していく情景は思い出すだけでぞくぞくする。飛行機がテイクオフ前の移動で見せる旋回も素晴らしいが、何せ外から見ることができないのが残念だ。

カーブには何か探しているのもがありそうだ。

先日、リニアモーターカーで時速430キロの世界を体験した。

スピードは一つの絶対的な美学である・・・、と再認識する機会であった。