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整理整頓

村上春樹氏の新刊が発表されたらしい。かなり興味はあるが、まだまだ読めるのは先になりそうだ。もう少し、期待感を熟成させてからにしよう。

なぜ、村上氏の小説に惹かれるのであろう。

個人的な主観ではあるが・・・,

氏の小説の多くは、何か見えない、見えにくい、それでいて誰もが心に持っているような闇としての、深層心理にざらざらとした質感を与える何か、世界観・・・と、”僕”の戦いというかやり取りの冒険小説のような形式がいくつかある。

この見えない何かというのはもちろん何かの比喩ではあるのだが・・・、既存の世の中の何か不合理なものや強力なもの、また反対にシステマチックで神秘的なといったように相反するものどうしの複合体、例えば権力だったり宗教だったり・・・、を既視的な何かとの相似形を保ちながら提示しているような感じ・・・がする・・・。

しかし、僕が惹かれるのは小説にでてくる主人公である”僕”という存在である。
まづ、彼は引きこもり気味であることが多い。そして大体よく女性にもてる。ここがまづもって素晴らしい。
そして、料理が上手。
たいてい冷蔵庫の中の余り物でいかした料理を作る。小説の中でのその調理のディテールの描写も密度が高い。簡潔な料理が多いが、自分でチャレンジしてみたくなる。

そして、何より掃除が好きだということ。小説の中の僕は、引きこもりで、いわゆる社会からは少しだけずれたところにいるが、ある決断の下にそこを飛び出す覚悟をする。

そんな僕がまづ最初にすることが徹底的な部屋の掃除、そして、冷蔵庫の掃除として料理を作って自分で食べる。

うむ・・・、引きこもりであるところは僕にかなり近いのだが・・・、その他はかなりの達人である・・・。

と言う事で僕も掃除というか整理整頓をすることが大好きである。

僕の生業は建築の設計であるが、これも、敷地、環境、リクエスト、法律、バジェット、デザイン・・・という建築に要請される様々な情報を整理整頓することである。

そう、僕の仕事は整理整頓ともいえるのでは、ということ。

今でも一つのプロジェクトが終わるとまづ、事務所の大掃除が始まる。そしてこれがまた気分がよい。

事務所では、議事録やスケッチ、ファックス、はたまたイタズラ書きまでもがファイリングされてる。そう、すべてが紙媒体としてファイリングされている。
最近のようにコンピュータの中にデータとして保存されるペーパーレスとは完全に逆行しているのだ。

何かプリントアウトしてそれをバインダーにファイリングする瞬間に仕事の喜びを感じる。バインダーはもちろんキングジム。

そしてそのバインダーが日々、分厚く、そして重くと成長の様をうっとりと眺め・・・、

そしてとうとうバインダーがいっぱいになり次のバインダーを新調する際、バインダーの背表紙をテプラで作り貼り付ける時が僕の仕事の絶頂期の一つでもある。
わが友はテプラである。