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片瀬山の家が着工します。

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中庭を囲むように2棟からなる住宅です。

初めてクライアントさんにお会いしてから1年以上、敷地が決定し設計におよそ一年を費やし、いよいよ着工です。

思い起こせば、ご連絡いただき面談をし、そしてさっそく次に日に

”アシヤさんたちと家づくりをしますのでよろしく。とりあえず素敵なプレゼンをお願いね!!”

とのわかりやすい返事をいただきました。シンプルな返事にとても嬉しく思ったことを覚えています。

もちろん面談の時点で、ピンポイントで確実なプレゼンを遂行し、そのうえで我々に設計依頼をいただけることは使命である確信していました。
なぜなら、とてもすてきなご家族、そして何より奥様がきれいでチャーミングな方だからです。何度もこのブログで申しあげているように、我々のクライアント女性陣は美しくそして家族との家づくりに確固たる思いを持っている方ばかりです。そしてつまりはそうであれば我々が設計をしなくてはならないという天命を授かっているからなのです。

私たちが今までもその思いをきちんと結晶化させることができているかどうかは少々不安ではありますが、美しさと聡明さに戸惑うことなく懸命に仕事を遂行してきました。

つまりは、そういうことです。

設計期間中もとても明晰かつ合理的にそして何より楽しく家づくりを進めていただきました。達者なスケッチも何枚もいただきました。休日ごとに探検に出かけ、行きかうメールはゆうに・・・。

まさにクライアントさんの思いの結晶体としての建築になりそうです。そしてさらには私達設計者にとっても当初のイメージの通りの建築となりそうです。まだまだ調整は続きますが・・・よりブラッシュアップしてゆきますのでこうご期待ください。

最初の面談でいただいたお題は”パティオのある家”でした。

パティオの定義を云々するまでもなく、私には二つの棟の中央の外部空間で夜な夜なお酒とともに語り合う家族のメンバー、そしてお互いの寝室を縦横無尽に行きかうイメージが完成しておりました。

ロメオとジュリエッタは悲劇ではありますが、そんな風に愛し合う二人の間に横たわる余白の空間のイメージです。きっとその時代の彼の地でもそのようにパティオ、ピアッザを素足で行きかう恋人たちがたくさんいたことでしょう。

そうです。素足の足音とグラスの氷が月明かりに響きあうような・・・そのような愛のあふれる空間になることでしょう。

一度クライアントさんに”この住宅の名前は?”と聞かれました。残念ながらどうお伝えしたらよいのか途方に暮れておりましたが、当初より私のイメージは母屋と離れの二つの棟の間に今後長きにわたり様々な物語が紡がれ・・・、母屋と離れという二つの楽器で協奏曲を奏でるような空間を志向していました。ということでコンチェルトと名付けさせていただけたらと思いますがいかがでしょうか。

愛し合う二人にそっと寄り添うような2つの棟とその間隙、かすかに響くささやきと物音たちすべてが詩歌となるような、そんな感じの建築です。楽しみにしていてください。