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銀杏の木と6つの空間

木造3階建て住宅が竣工しました。前回のブログとあわせてご覧ください。

敷地は渋谷から徒歩圏内、道路を挟んで西側には学校の大きな敷地が広がり、学校の敷地内の大きなイチョウの木が並んでいます。その他3面は隣家に囲まれた、間口5.5m 奥行き16mほどの奥に長い土地形状です。閑静な住宅街なので、法規制も厳しく、特に高さ方向にかなり厳しい規制がかかっています。

我々のアイデアは、奥行きの深さと正面の銀杏並木に注目、活用することを目論み、東側より”サービス”、”キッチン”、”ダイニング”、”階段”、”リビング”、”ラウンジ”ゾーンとそれぞれ6のゾーンを並列し、それぞれの空間に対応する居心地のバリエーションを創造しています。、それぞれのゾーンの境界はアーチ形状の壁や、天井より低い垂れ壁で緩やかに連続しています。eyayycyyeya.jpg

ここで大事なことは、初期設定とし大きな空間を6つのゾーンに分割しているのか・・・、それとも6つのセルを並列して大きな空間としているのかいるのか・・・、その状態がわからないように調整することでした。

時には分節されているように・・・、
時には並列されているように・・・。

空間に緩さというか曖昧さ、つまりは包容力を持たせるためにはこのどちらでもなさ、つまりは設計の意図のなさがとても大事です。押し付けがましくない何かで空間がユルユルとつながってほしいのです。そして、この手法を使って空間に奥行き感と深さ、広がり感、そしてイチョウ並木を手に取る感じ、そしてこのイチョウの木が生活の一部となるまでに室内と近接させることは可能なのでは、と考えたからです。

実際、東側キッチンから西側を見ると、様々なアーチ形状の壁や天井の高さが不連続に連続し、空間に広がり感をもたらしながら、西側正面の銀杏並木を借景に明るくて開放的な空間が実現できています。

各ゾーンにはそれぞれ個性が与えられています。その個性はそれぞれのゾーンの連続性を損なわないように、控えめに、かつ楽しげに・・・。例えばダイニングゾーンには外部に光庭としての坪庭が設けられます。ラウンジゾーンは天井高さを確保し間接照明を設けています。

それぞれのゾーンの境界も重要です。こちらも控えめに、かつナチュラルに・・・。ここではアーチ形状を採用して空間にやわらかさをもたらしながら気が付いたらしきられている・・・、というイメージで計画しています。

いかがでしょうか?連続と不連続、流動と滞留が一つの大きな空間の中に埋め込まれ、日々の生活に季節や風の移ろいをもたらし、そして室内に様々な居心地が生まれたのではと思っています。