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木造3階建て住宅が竣工しました。

木造3階建ての住宅が竣工しました。先週のブログの写真とあわせてご覧ください。

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敷地は、南側隣地には壁のようにそそり立つ3階建ての住宅、北側隣地には2階建ての住宅と南北方向をはさまれ、東西は見通しと風通しの良い抜けのある外部環境が広がっている。

ここではまづ、建築としていかに効率よく合理的に建てるかを追求するのではなく、近隣住居や周辺環境、街並みの一部としての建築として、一つの住宅のいかなるあり方が自然か・・・、建築の所作振る舞いのあり方とは・・・を追及している。いわばミクロな視点からの都市計画・・・を考えた。混沌とした都市環境に建つ建築の振る舞いの連鎖が、少しでも街並としての美しさを確保できたらという、自分なりのチャレンジでもある。

ここでは、町並みを統一するとか、建築に使用される形のボキャブラリーを統一するとか、屋根や窓の形状を合わせるとか、いわば旧態然とした手法で町並みを造るのではない。考慮されるのは隣家との関係である。問われるのは自身のあり方・・・、決して押し付けがましいルールを作り遂行することではない。

まづは自身の北側に建つ住宅の住環境を可能な限り担保することである。ここでは、南西方向からの自然採光を可能な限り邪魔しないように、そして隣家の庭空間の前にも同様に隣家のためにオープンスペースを確保して、隣家のの自然採光の確保に寄与している。3階建ての建築を建てるからこそ考慮しなくてはならない。このような所作により、それぞれの建築の自立と共生が図られることを意図している。

平面計画は、リビングゾーンとダイニングゾーンを分割して中央に階段を挟みこんでいる。それぞれのゾーンはずらすように、そして遮断されるかのようにして配置され、空間に流動性と断続性、連続感と遮断、空間に滞留を生み出す事により、開放性、広がり感、そして使用時の季節や状況に応じて様々に可変する空間を生み出している。ズラされるこちにより発生するギャップは坪庭として、テラスとしてなど積極的に活用される。

この住宅のコアとなる階段は、段板に無数の穴を開けることにより、上階に設けられたハイサイドライトからの自然光が穴を通じて拡散してきらきら光らせて、まるで木漏れ日で満たされた樹木を昇降するようなイメージの階段としている。
つまり、住居の真ん中に大きな樹木がありその樹木から各空間が枝分かれするように・・・、この大木を通じて家族の皆が緩やかに連続するように・・・、この住宅の菩提樹・・・、トトロの棲む大木・・・、ような階段をしつらえた。

内部空間、居室からはどの部分からも植物のグリーンと空がセットで見て感じることができるように様々に交錯する視線の抜けを確保し、その上で内部には完全にプライバシーを確保した都市型住居となっている。