2012年夏の出会いから、この日を無事迎えられたことに感謝申し上げます。
お題は富士山を望む家です。はじまりはここから。
敷地北側に悠然と構える富士を眺め、豊かな大自然を前に建築することへ躊躇心すらよぎります。
長くこの地で生活されてきたオーナー様が、四季折々、様々な自然を体感する空間、そしてこの地域の素晴らしさの新発見や、再認識いただける住環境を考えています。
周辺環境に対し威圧的な建築とならないよう、建物の高さに配慮し、パブリックゾーンのみを2 階に配置する計画です。
より軽快感を演出するため、蝶が羽を広げゆったりと佇むような、バタフライルーフの家です。
このバタフライルーフの庇が、夏の日差しから家を守り、また建築としてのシンボルとなります。
建物より灯される明りが、優しく街を照らし、外に開かれた建築となればと思います。
ガラス越しに見える建物向こう側の風景が、建物の奥行き感、浮遊感を演出しています。
竣工写真は、八雲いつか様にお撮りいただきました。
株式会社 めくるめく
Atelier MESCOULEURSMESCOURBES
各室へ光と風がゆったりと取り込まれるよう、またプライバシーの確保として中庭を配置しています。
来訪されたお客様へのおもてなしの空間でもあります。
リビングダイニングは南北に対して、柱、梁など構造的に必要な部分以外はすべてガラスとし、外部、内部の線引きを払拭する演出です。
安全面の配慮から、ＦＩＸのサッシを多く採用していますが、東西に設けられたハイサイド窓により、換気、通風は十分に機能しています。
空調設備としては夏季は冷水、冬季は温水が流れるラジエターパネルを設置しています。輻射熱によるこのラジエターパネルと、床暖房および、ハイサイド窓等による自然換気による体に優しい温熱空間となっています。
エアコンを設けていないため、空気が必要以上に舞い上がったりホコリが舞ったりということもなく、夏季は冷水により表面に結露を発生させ除湿効果も高いです。
入居後のオーナーさんのコメント「音がなく静かでとても快適です」と。
当方事務所でも設置しており、気流のない空間の実体験を通じて絶賛し、導入を進めさせていただきましたので、一安心です。
室内全体がこの輻射熱によるものですので、開放的な空間の確保、各室温度差の少ない住環境となっています。
オーナー様には、真摯に家づくりに向き合っていただきました。ご夫婦そろって多くのお時間を頂き、ご自分たちの思いや意向を伝えていただきました。
その熱意とやりとりが、濃密で快適な、完成度の高い美しい建築となったと思います。
竣工を迎えるまでに様々な出来事がありましたが、いつも暖かい眼差しで支えてくださいました。
モノづくりの楽しさ、厳しさを再認識させていただき、そして背中を押してくださったことに心より感謝しています。
少しずつ完成が見えてきたころ、オーナー様の真剣な表情が笑顔に変化していきました。建物を設計する仕事をしていて、この瞬間がたまらなく嬉しい時です。
工務店の監督さま、細部にわたる施工にまで気を遣っていただき、丁寧な仕事を本当にありがとうございます。
度重なる変更にも柔軟にご対応いただきました。長時間にわたるオーナー様との打ち合わせにも常に同席くださり、何より心強いパートナーでした。
そこまではいいのでは・・と当方が思うほどの熱の入れ方で、美しい建物に仕立てていただきました。
監督さんのもと、全ての職人さんが、丁寧に楽しく仕事をしてくださったと感じております。
そして実施設計、現場監理共に協力いただきました、羽切建築設計事務所さま、様々なサポートありがとうございました。
http://hakiri-a.com/
建築の仕事は本当に多くの人によって支えられていること、そして何より竣工後、長きにわたりその地に存在することの重責。自分自身が現在もこの世界で仕事をさせていただけることに感謝し、今後も少しづつ前に進んでいきたいと思います。
最後に・・敬愛するカメラマンさま
カメラマンさんには大変失礼かと思いましたが・・・素敵すぎましたのでアップさせてください！。
あまりの衝撃で手が震え・・・ぶれてしまいました。残念です。
建物全景の撮影のため、躊躇することなく駆け上っていただきました。
次回撮影の機会がございましたら、私はカメラマンさんの動きを撮影したいと考えております。
カメラ好きの芦屋が惚れ込んでいました。きっと天国で堪能していることと思います。ありがとうございました。
