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outlivimgが竣工しました。

ずいぶんと報告が遅くなってしまいましたが、アウトリビングと命名して進行していた住宅が竣工しました。

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毎度のことながら、竣工し引き渡しを終了しても、私自身が完成を実感できるまで、つまり自分の中で竣工した建築が腑に落ちるまでははなかなか時間を要します。
特に住宅では実際に生活をされている様を自身の目で見て、建築内で起こっている様々な出来事や使われ方が建築計画としての形としてフィットしているか・・・、とはいえ大事なことは上手にマッチしていることだけではなく、時に思いのほか違った使われ方をしていたり、光や風が思わぬ形で空間に輪郭を与えていたり、そんな想定外の楽しいハプニングを含めてさまざまな現象が理解できるにはやはり通年による観察・・・時間がかかります・・・。

オーナーさんにとってはどうでもよいことかもしれませんが、設計者としてはきちんと物理的な建築として落とし前が付いているかどうか・・・、これがすべてでもあるのです。

ということで、アウトリビングについてです。敷地は私鉄駅から徒歩で3分、都心まで車で10分程度でありながらもゆったりとした閑静な住宅街に位置しています。古くに開発された地域ではあるのですが、緑がそこかしこに点在する、つまりはとても素敵な住宅街です。

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オーナーさんはモノづくりを通じてその名を方々に知られる伝説的な職人さんです。つまりはとても厳しい・・・自身にもそしてモノに対しても・・・とはいえ私も含めた現場の人つまり”造る人”にはとても優しい方ではあります。が・・・モノと格闘する生業、必然的にハードルはぐんぐん上がります。

いただいたリクエストは、シンプルに室内の快適性の追求です。具体的にはRC造で外断熱、全館空調と熱交換型換気扇の併設です。
私たちも何度か同じ条件の住宅の設計を手掛けてきましたのであまり戸惑うことはありませんでしたが・・・機械システムオリエンテッドな設備設計方針を、いかに気持ちの良い建築空間と共存させ、効率性をより向上させ、そして美しい建築に昇華させるかが大きなテーマではあります。いくらQ値が低くたって、開口部が小さかったり窓が少なかったりしているようでは意味がありません・・・。窓を穿つことにより建築になり社会とつながるわけですからね。

南面には12Mの幅を持つ大開口をアルミクラッドの木製サッシュにて仕上げています。ガラスはもちろんLOW-Eガラスのペアに防犯合わせ、幅は驚愕の3.6Mの一枚ものガラスです。メーカーとガラス屋さんに懇願して実現していただきました。
おかげで最高に美しい仕上がりです。

内部はすべてコンクリートに珪藻土の左官仕上げとすることにより、空調の熱をすべてコンクリート躯体に蓄熱するように仕上げています。
少々ひび割れも心配ではありますが・・・左官屋さんにはより丁寧な仕事を依頼し、今のところヒビは一つもありません。とても美しくそして機能的な壁仕上げです。

屋根の一部には緑化を施し、より高い断熱性を確保しています。

リビングの天井はピアノの音響を考慮し木製による柔らかい素材で斜めに仕上げています。ハイサイドライトからは一日中豊かな太陽光が降り注ぎます。

つい先日極寒の中訪問しオーナーさんには歓待していただいたのですが・・・、この外気温の中ですら空調を運転しなくても問題はないほどの断熱性、大開口による熱損失も想定の範囲内でつまりは最高に気持ちの良い空間だとのことでした。確かに、ポカポカとむしろ暖かく・・・オーナーさんによる心温まる歓待のおかげだけではなさそうです。なんだか自画自賛ばかりで恐縮ですが、この建築の仕様が我々の目指す一つ方向性を実現できたのではと思っています。

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工事はよく知る監督さんの再登場です。お互い手の内はよく解ってはいるのでよりスムースに現場は進行し仕上がりもとても良い感じです。新宿区、練馬区付近で計画のある方は是非ご連絡を・・・、監督さんを紹介します。

いつものことながら・・・オーナーさん方にたくさんのリクエストと、仕上がりのハードルを少々上げていただき・・・、それを我々設計再度と現場監督さんとともに五里霧中とはいえ何とか形にし・・・、そのプロセスが私たちの進歩と成長、進化、そして建築をする楽しさと喜びにつながるのだと再認識できるとても良いチームでした。ありがとうございました。